歌壇俳壇面のコラム「うたをよむ」。今回は歌人・装幀家(そうていか)の花山周子さんが昨年刊行された若い世代の歌集を取り上げ、共通する人類への見方について考察します。 死んだ後つけられたから戒名であろうマンモスの名前の「ユカ」は 川島結佳子 『アキレスならば死んでるところ』 およそ四万年前の永久凍土から発見されたマンモスに人は名前を付けた。それが「戒名」と言い換えられるとき浮き彫りになる人類の独善性が ...
まず紹介したいのは、第1歌集が三島由紀夫に絶賛された春日井建さんに師事したという大澤澄子さんの『歌集いつの日か幸せになっていいけれど今すぐなってかまわないのよ』(角川書店・1980円)だ。 大澤さんは昭和20年、愛知県生まれ。本歌集にはこの10年、つまり70代で詠んだ女性ならではの歌が並ぶ。この間には本人の闘病生活があったというが、どの歌にも明日を信じて自転車を懸命に漕ぐ少女のようなみずみずしい感 ...